現在地

今日は久しぶりに病気について書く。野球の季節が終わり、今は読書が唯一の楽しみである。


ジストニアの症状になり、約二年に経つ。とはいえ、昨年の三月に診断されるまでは、ジストニアという病気すら知らなかった。


この二年は本当に乱高下の日々だった。ボツリヌス菌の注射は利いてはいたが、斜頸は治らない。


年が明け、リハビリを始めたり、周囲の支え、自分自身の考え方の変化などにより、症状が改善されてきた。


一年を要した。


五月、六月は主治医も寛解すると踏んでいたように思う。「八月の注射で終わりかな」と言ったからだ。


やはり、人生は好事魔多し。
七月になり、症状が戻り始める。
急遽、七月の末にボツリヌス菌注射を打った。


本来は急には打てない注射だという。主治医は「ボツリヌス菌は厳重な管理が必要だから。たまたまストックがあったから、今回は打てた」と言った。


八月から九月は絶望した。
治ると思ったものがもとに戻り、振り出しになったからだ。
くわえて、症状が改善していたため、もとに戻った反動は大きい。


要するに前より、症状が酷く感じる。あくまでも感じられただけだ。実際はそうではない。良かったときがあった分、悪く感じた。


今は注射の効果とリハビリで悪くはない。


仕事も楽しい。読書は感想を書くのが追い付かない(笑)


正直、毎日きつい。しかし日々に感謝。

 

 

 

 

100の準備『齋藤孝が読む カーネギー話し方入門』(齋藤孝)

人前で話すこと、苦手でした。
大人になるにつれ、人前で話す機会が多くなるにつれ、 少しだけなれてはきました。


本書のタイトルからズバリ「話し方入門」です。


カーネギーは、人前で話すときに大事なことを二点あげています。

「勇気」と「自信」です。
そのために必要なポイントは四つあるといいます。


一つ目は、「よい話し手になろうという一途な執念」。


二つ目は、「話そうとする内容を知り尽くす」。ここでは、 安住さんのエピソードが登場します。


三つ目は、「あえて自信ありげにふるまう」。


四つ目は、「一にも練習、二にも練習」。 東京五輪のプレゼンも練習につぐ練習をした結果だといいます。


第二章では、「自信は周到な準備から」です。


知識の集積だけが準備ではありません。「自分自身を注ぎ込む」 ことが不可欠です。


準備も100用意したら、90捨てるくらいの余力が必要です。 カーネギーは、「 自分が知っていて表に出さないいろいろな情報は、 実際に表に出たわずかなものに迫力を与え、色彩を添える」 と述べています。
本でいえば、行間に滲み出るようなことでしょうか。


第三章は、「ポイントを三つに絞り、着地点を決める」です。


目的地を持った航海には海図が欠かせません。 カーネギーはナポレオンの「戦術は科学であり、 計画され考え抜かれたものでなければ、成功しない」 といっています。


第四章は、「記憶力の増進について」です。そのためには、 印象付け、反復、連想に尽きます。


著者はさらにここで、アウトプットの重要性を説いていました。


第五章は「成功に欠かせないもの」です。カーネギーは、「 諦めなければ必ず叶う」としており、著者はそれを「 私は必ずしも同調しません」という立場をとっています。


私自身も著者と同意見です。ただし、「成功には必ず努力が伴う」 と思っています。努力すれば、夢が叶うわけではありませんが、 夢を叶えるには努力が必要です。


第六章は、「話し方のコツ」です。肝心なのは、 話す内容よりも話し方、だといいます。著書は「 人志松本のすべらない話」を例に出していました。 齋藤孝先生の守備範囲の広さには驚かされました(笑)


第七章は、「話し手の態度と人柄」です。 カーネギー工科大学の調査によれば、 ビジネスの成功の鍵知能よりも人柄に影響されるとのことでした。


第一印象が大切なことは、今さら言うまでもありません。 私たちは話はじめる前から、既に値踏みされています。


次章、次々章は始め方と終わり方。

 

第十章では、「平易な言葉づかい、ビジュアル駆使」 についてです。


「百聞は一見にしかず」ですね。


第十一章は、「興味の換気」についてです。 人間のもっとも関心があることは、セックス、財産、 宗教だとカーネギーはいいます。 その中でも我が事にしか興味はありません。また、 自分が興味を持たないことには人は興味を持ちません。


最終章は、「語彙力」です。
言葉って面白いですよね。
学生のときは、あまり言葉の面白さに気がつきませんでしたが、 大人になり言葉の味わい深さに気がつきはじめました。
語彙は豊富にこしたことはありませんよね。


カーネギーといえば、「人を動かす」「道は開ける」 が有名ですが、これらに先立って「話し方入門」があります。
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来期からは一軍監督!『二軍監督の仕事』(高津臣吾)

著者の高津さんは、 日本を含む四か国でプロ野球選手を経験しています。 経験に勝る学習はないとよくいわれます。


本書には、ヤクルトスワローズの二軍監督時代に何を考えながら、 日々過ごしたのかが書き記されています。


二軍選手の指導は、 いかに長所や特徴を伸ばしてあげる点にあるといいます。

 

ライバルに感じたギャップ(レベルの差)が進むと、 コンプレックスにつながります。


心理的な負い目を払拭することが重要です。


「感覚を言葉にできる選手は成長するチャンスが大きくある」 P68
プロのレベルになると、細かい修正が肝になり得ます。


「野球は言葉のスポーツでもある」P110
いかにも野村克也さんの薫陶を受けてきた高津さんらしい表現です 。

 

来期のヤクルトスワローズに注目ですね。


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世界は複雑 『真実VS本能』橘玲

PIAACという先進国の学習到達度調査によれば、 日本はトップです。(PIAACとは、PISAの大人版)

 

それでも、日本社会の中心が高学歴層で構成されるので、 偏差値60が標準とされる社会だといいます。 無意識で自分を基準にすると、平均が歪むからです。


著者は社会問題や事件を、 一般化することは慎まなければならないと前置きしながら、 目を背向けたい事実の理由を探ります。


世の中は、そう簡単には語れないのも真実でしょう。 私も難病を患い、痛切に感じます。もちろん、著者自身も「 人間は複雑」と語っている部分もあり、自覚的です。


それでも、本書は興味深く読み進めることができました。


幼児の男女にクレヨンで絵を描かせると、女の子は「暖かい色」 で人物を、男の子は「冷たい色」でロケットや車を、描きます。 男女の網膜と視神経の構造的差異を指摘しています。


話はそれるかもしれませんが、 アカウンタブルでないものについて思いを巡らすと、 SFやホラー、ファンタジーに辿り着くような気がします。


人間がこれらを欲したり、 創造あるいは嗜好するのは自然なことかもしれません。 本書のようなエビデンスではなく、感覚的な個人の感想ですが。


「甘いものを食べながら聞いた言葉は甘く感じる」P102
脳科学の実験から、「初対面の人には温かい飲み物」「 交渉の際は、 柔らかな感触のソファに座らせると相手の態度が柔軟になる」「 相手より物理的に高い位置に座ると、交渉が有利」 など示唆に富みます。


中盤からは、政治的な話が多くなり、前半と毛色が異なってきました。


初版ということもあり、誤植が数箇所ありました。

 

 

 

 


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金はないけど知恵はある『伊藤Pのモヤモヤ仕事術』(伊藤隆行)

著書である「モヤモヤさまぁ~ず2」のプロデューサーは、 自分自身の人生がモヤモヤだと言い切ります。

なぜなら、報道志望でテレビ東京に入社したにも関わらず、 バラエティー番組にしか携わったことがないからです。


そんな著書の唯一のポリシー。「誰でも自分の中の1% だけは天才です。だけど、誰でも自分の中の99% は完全に凡人です」


本書はこれだけを伝えたいとのことでした。


さて、著書が所属するテレビ東京は視聴率で最下位が定位置です。 テレビ東京のハンデは「その人は100%出ない」 と言い切れてしまうタレントさんが結構いることに尽きるようです 。


しかしながら、個人的には好きな番組あります。最たるところが「 家、ついて行ってイイですか?」です。この番組は、 短編小説を読んでるような気分にされられます。


テレ東は「他に無い番組を生み出す」というこだわりがあります。 金と人気はないからこそ、知恵で勝負なのかもしれません。
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「テーマを持ってプロ野球観戦!」 『古田式・ワンランク上のプロ野球観戦術』(古田敦也)

「テーマを持ってプロ野球観戦!」
『古田式・ワンランク上のプロ野球観戦術』(古田敦也

本書は、漫然とした野球観戦ではなく、プロ目線の観方を指南してくれます。

第一章は、投手についてです。
オーバーハンドスローだと、ストレートにスピンがかかりやすく、ボールも落ちやすい、といいます。

例として、野茂さん、佐々木さん、藤川投手を出していました。確かに、三投手ともに、ストレートが浮き上がるイメージで、決め球がフォークボールです。

古田式の良いピッチャーの条件は、総合力。

本書では、田中将大投手が真っ先にあげられています。執筆当時、田中将大投手は、ヤンキースに移籍したばかりです。今の安定した活躍からも田中将大投手の総合力、古田さんの評価は的を射てます。

第二章は、打者です。
良いバッターとは、長打力と選球眼。つまり、OPSが高いバッターとなります。これは当然の指標といったところでしょうか。

バットの芯は7センチしかなく、バッターは、0.4秒前後で対応しなければなりません。

そういった意味では、イチローさんの芯が外れても、ヒットになるバッティングポイントは驚異的です。

第三章は、守備です。
キャッチャーは観察力が求められます。古田さんは経験則から、不調なバッターは打席に入るのが遅いといいます。好調なバッターは、早く打ちたいから、すぐ打席に向かいます。他方、不調なバッターは、足が重くなるということです。

最終の第四章では、監督の戦術について書かれていました。

監督は、怪我人を含めた選手のやりくりが欠かせません。

チームで共有すべきことを三つあげています。ビジョン、ハードワーク、戦略です。何だかビジネスにも通じそうです。
ハードワークに、関しては、ビジョンや戦略に欠かせない準備。決してタフな仕事だけではありません。

私は専ら、野球は観戦しかしません。20代までは、運動不足解消にやってました。もっとも、今はやりたくてもできません。病気になってからは、観る専門です。

どこに注目して観るか?
その日のテーマを持って、野球観戦するのも面白いかもしれません。
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一流の脇役 『超二流』(野村克也)

野村克也さんの本は何冊も読んでいるので、聞いたことのあるエピソードばかりですが、切り口を変えて書かれています。今回は「超二流」。副題は「天才に勝つ一芸の究め方」です。

第一章は、超二流論の解説です。「超」と「二流」相反する言葉ですが、「超二流の脇役」の重要性を説きます。

映画でもドラマでも主役級を揃えただけでは成立しません。それぞれの役割とバランスが重要です。

やはり、いぶし銀の脇役も欠かせません。換言すれば、一流の脇役こそ、超二流ということです。

第二章は、「自主的に考える力」です。「甘い自己評価に酔って不満を溜めるのではなく、どんな時も腐らずに真摯に取り組むことが大切なのだ」「腐ったら負け」「見ている人は必ずいる」

何事も謙虚に愚直にということですね。

結果を求めるためには、主体的を持ち、素直な心が不可欠です。名脇役として活躍した土橋さんを例に出していました。

第三章は、「より成長するために」です。チームプレーを引き合いに、役割や責任感、そして組織には中心となる存在が大事だといいます。

「努力に即効性はない」けれど、基礎固めが重要だと説きます。基礎、基本、応用。まずは基礎が欠かせません。

第四章の「物事の本質を考える」では、著者の意外な一面に出会いました。
「結果至上主義が好きではない」プロの世界は結果が全てとも言われます。しかし、「結果は自信をつけるもの」これが真理だと言い切ります。

第五章では、集団の統率についてです。カープ黒田博樹さんと新井貴浩さんは、V9の王、長嶋と評価していました。皮肉にも二人が去ったカープは、今年四位に終わっています。

プロ野球の監督の仕事は準備とも語っています。

第六章は才能についてです。そこでは、「性格」による「向き不向き」を侮るなかれ、とあります。

最終となる第七章は、人間教育についてです。ここでは、「謙虚」に「自信」を持つことで、成長につながると締めています。

一流ではなく、超二流を目指す、これはこれで難しい。ただ、みんなが160キロのボールを投げたり、俊足だったり、ボールを遠くに飛ばせる訳ではありません。努力で乗り越えられることを磨くことこそが超二流になるための道です。
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